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はつゆきさくら ~シロクマシナリオ~ プレイメモ

ギャルゲー

グルルルシロッ!>挨拶

という事でしばらく艦これにかかりっきりでしたが、再開しました。

今になって再プレイしていることからも推し量れるように、自分がはつゆきさくらと言う作品が大好きです。桜シナリオと綾シナリオは何度も読み直してきましたが、シロクマシナリオは実は初回プレイ時以降触っていませんでした。

理由は簡単。昔のレビューでも触れたようにシロクマが不憫すぎるから。

しかし今回の再プレイで少し見方が変わったというか、物語の表面だけしか見えていなかった気がします。詳細は後ろの方で。あぁ、これだから再プレイするって大事だなぁ……。自分の思考の深度が深まった一方で、捻くれたものの視方をするようになった自分がちょっとだけ悲しい気もしますがががw

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はつゆきさくらは過大評価されているのか

はつゆきさくらを過大評価しすぎなんじゃない?ってのはよく言われるし、自分でも心のどこかでもしかしたら…と思わなくもありませんでした。地の文がほとんどなく殆どが掛け合いで進行していったり、たった5クリックで数日が進行したりするなどシーンのブツ切り感が酷かったり。これだけ好き放題暴言を吐いてやや暴力的な主人公をみんな何故か好き好き行って来たり。なんというか如何にもエロゲ的なんですよね。他の表現媒体ではありえないと言いたい気持ちも分からなくはないです。でも良いじゃない。だってこれはエロゲなんだもの。文章だけを取り上げてラノベとして出したのなら批判していいでしょうけど、文章量を稼ぎたいとしか思えないような冗長で無意味な日常テキストを延々と続けるエロゲが多数を占める中、むしろはつゆきさくらは異端児にして本来あるべき姿と言っていいかもしれません。

 

つまりはつゆきさくらって言うのは無駄な部分をなるべく切り落としたエロゲだって事。一見するとおバカで底の浅そうな会話でも深い意味が込められていたりして、読めば読むほど味が出る。表面だけを舐めて「うっわーこれ合成甘味料の味こすぎだわ」と言って吐き出してしまうのは芯に含まれている美味しい果肉をも捨てちゃうことで、もったいないなーと。まぁそれでも前述の不満は十分過ぎる位感じちゃうので批判されるのも分かるよ、ホント。。(もっとイチャラブさせてください

 

前置きが長くなっちゃったけれど、結構前にこの記事を読んでなるほどーと思った。

『はつゆきさくら』1stインプレッション-2(シロクマほか) - then-d’s theoria blog ver.

(無断でリンク貼っちゃうのはどうかと思いましたが、見た限り特に何も書いてないので張らせて頂きました。不適切だった場合削除します。)

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「Xが笑っている。Yが泣いている。答えが見つからないと、泣いている。

それでも、たどりつかなければならない。 

たとえ、物理法則を歪めてでも……。

手に入れたい真実がある。

全ての因果律を超えて、ただ、たどりつきたい。

それが、答えだ!」

「何の解決にもなっていないよ?」

 

そうだよ、物理法則を歪めてでも、つまり世界の規定を超えてでも、ただ辿りつきたい。卒業と言う答えに。

 

「いくつもの出会いの果てに、たどりついた。

かけがえのない答え。

この年を決して、忘れないだろう。

いくつ季節がめぐっても……。

1392年。いざくにとうおいつ、南北朝

振り返れば、いつもそこに君がいた」

「普通に語呂で覚えた方が早くない?」

普通に読み進めると物事をオーバーに書くという単なるノベル的手法 のギャグシーンにしか見えません。でも「振り返れば、いつもそこに君がいた」と言うのはコンプ後に読むとこれってまんま桜のこと言ってるのは誰でも気づきますし、そのシーンでわざわざ桜を写すとか狙ってやっているとしか思えません。

文章題の"作者の気持ちを考えなさい"と言う問で、本当にここまで作者は考えてたの、評論家の後付け妄想じゃない?と思う事は多々ありますが、事はつゆきさくらに関しては間違いなく意図的に意味を込めていたのでしょう。これに限らず、普通にプレイしているとただの掛け合いにしか見えない部分も良く読むと物語で深い意味を持っている表現が散見されて、こういうのを発見した時はうおぉおおおお!!と思わず小躍りしたくなりますw

 

 「気づかなければ、お前そのうち、ゴーストになっていたな」

「え?ゴースト?」

「お前みたいに世間に馴染めなくて、逃げて逃げて逃げ続けて、結局どこにも居場所がなくなって、幽霊みたいになっちまった奴を知ってるぞ」

「この世にあるもの、全部から逃げまわってると、そのうち肉体はこっちにあるのに、肝心の魂は……どこか、別のセカイにいっちまうんだよ」

 逃げて逃げて逃げ続けて。自分が逃げなければならないのは環境が、社会が、世界が悪いんだと思い続けて。でも自分を顧みないから状況は好転しなくて。するとまたそれで社会を、世界を恨んで呪って。

これじゃダメだって解ってはいるけれど、その呪縛を振り切ることが出来ない初雪の自身への皮肉たっぷりの悔恨が込められているのか。

 

ゴーストランドで働きたい

「シロクマは、ゴーストランドに行きたいっ」

「ゴースト、ランドだ?なんだ、そのけったいな島は」

「郊外にある、テーマパークだよ。一昨年開園した。有名だよ」 

 

「しかし、この街に暮らしていて、ゴーストランドを知らないゆきちも、大概だと思うけど?」

「そ、そうなのか」

「開園時は、かなり話題になったし、しばらくは全国からレジャー客も訪れて……街のあちこちに、ゴーストランドの宣伝がされていたじゃないか」

そう、だったか……?

 ゴーストランドがあるのが当然と思っている綾とシロクマ。一方で全く記憶にない初雪のちぐはぐさ。一瞬で流されるシーンだけど、これは……。

はつゆきさくらのセカイ観を読み解くうえでこの2年前と言うのが一つの重要なキーになるという事。

 

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一生懸命えっちなお勉強をするここら辺のお話は本当に大好きw

あとシロクマの少女マンガちっく妄想えちぃシーンとかは爆笑しました。あれだけHシーンで笑ったのはリトバス以来かも?w(ラララエクスタシー♪

 

シロクマが頑張る理由

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「学園行きたくない……。あずま先輩とかが声かけてくれるんだけど……。

それじゃぁダメなんだよね。

全部、店長がくれたものばかりで、残してくれたもので。

それにしがみついてたら、きっと立派になれないよね。

店長とあややと。2人のために、がんばるよ」

 

「店長。立派になるからね。

そしたらいつかまた、会えるよね。

それじゃぁね。行ってきます」

 折角頑張って入学したシロクマだが、なかなか馴染めず苦労する。だけどこのままじゃダメだ。頑張らなきゃ!と一念発起するまではいいのだが、問題はその動機。

思えば入学試験の時にも頑張るのは教えてくれた綾と店長こと初雪のためだ、と断言していた。そして今頑張って学園生活を送っているのも立派になれば店長にまた会えると信じているから。

シロクマの動機には自分が存在しないのだ。他のヒロインよりも一回り幼く、自我の形成ができていない彼女にとって、格好の動機となったに違いない。人のために頑張る、と言うのは聞こえがいいし、妙な充足感が得られる。そして何より褒めてもらえるのだ。ナイーブなシャケクマを演じきった時のように。その心地よさに逃げているだけなのだ。そしてシロクマから望月宝となっても店長は彼女の心に住み続ける。

 

桜の精になれた初雪と卒業できなかったシロクマ

はつゆきさくらは全編を通して初雪or桜が背中を押して応援することで登場人物が"卒業"する過程を描いた作品だと思う。

シロクマは無事卒業することが出来たのだろうか?今回プレイした感想は、彼女はヒロインの中で唯一"卒業"することが出来なかったのではないか?という事。

シロクマから望月宝となった彼女は一見充実した学園生活を送る。しかし彼女の心には店長と言う大穴がぽっかり空いたままだったのだ。

初雪が彼女のおじいちゃん(佐々木氏)を殺そうとしたと言う事実もそんなの何かの間違いに決まってるよね?と直視しようとせず、(chapter18)、初雪はもう昔の彼とは違うから会っちゃ駄目だという玉樹(サクヤ)の度重なる忠告もまるで無視して逢瀬を重ねる。実際、彼女が人質とされ、佐々木氏と相対しているときですら彼女はこの現実に見向きもしない。

たとえ幽霊だとしても。

化け物だとしても……

私はあなたに会いたい。

店長……。

そうしてようやく再開できた初雪との行為中、彼女は自分をシロクマと呼ぶ。この瞬間、彼女は望月宝であることを放棄したんじゃないだろうか。遅れていた精神的発育を取り戻してようやくシロクマから望月宝となれたというのに。

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シロクマもまた初雪の事を店長と呼ぶ。この二人は結局最初から最後までお互いの本当の名前を呼ぶことがない。シロクマは初雪ではなく店長を愛し、初雪が視ているのもまた望月宝ではなくシロクマだった。

お互いがお互いの虚像を愛し合うという姿がプレイ当時強烈で、こんなに愛されることがないヒロインが今までいただろうか!シロクマちゃん可哀そう> <と思ったんです。

 

そのせいでプレイするのをためらっていたんですが、今回再プレイして疑問が芽生えました。シロクマは本当に不幸だったのだろうか、と。

実はシロクマシナリオ中、自分の目で見てみてシロクマが悲嘆にくれたり悲しんだりするシーンってほとんどないんです。もちろん初雪との別離の際は悲しむものの、また会えるよね?とすぐに立ち直る。これを見て『なんて健気な子なんだ、泣かせるよ』と同情していたんですが……あれ?本気でそんな節が見当たらないんですが。

むしろシロクマ自身は作中で語られる初雪との恋物語を純粋に楽しんでた節すらあるんじゃないかとすら思えてきたり。

例えば度々挿入されるクラスメートとの会話。桜の精だとかなんだかよくわからないイイ人がいるシロクマは周囲にとって自分たちより進んでいるすごい存在だと思われています。バイトと言うみんながまだやってない事をしていた事で一気に周囲に溶け込むことが出来たことからも分かるように、謎の恋人の存在はシロクマをよりミステリアスで憧れの対象にして、彼女が自分の世界を獲得するうえで大きな役割を果たしたことでしょう。

可愛がられて世間知らずであるが故に、周囲と馴染めなかったシロクマが、初雪と綾に変わって得た自分の世界。それを維持するためには彼女はシロクマであり続けなければならなかったのかもしれない、とも思えました。

ですがEDでカンテラを訪れた際に「卒業したのに。何も成長してないね。私」というセリフからも、彼女は自身がシロクマから卒業できていないことを自覚しています。そこからもシロクマであることを自ら望んでそうあり続けてきたことが覗えます。

 

我々傍観者からすると一見悲劇なんだけど、彼女自身はシロクマでいることで、まるで悲劇のヒロインに成れたかのようで幸せだったんじゃないか。

 

最後の最後で復讐よりもシロクマへの愛を掴み、ゴーストから桜の精になることが出来た初雪と対照に、何時までも店長への盲目の愛に縛られるゴーストとなったシロクマ。

ロシアから帰ってきたときに、彼女がシロクマから望月宝へと卒業することが出来ることを祈って。

 

シロクマ、卒業おめでとう……?