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夏の色のノスタルジア レビュー

やっほー新年度>挨拶

小さいころは新年を迎える瞬間をある種の特別感からかセンスオブワンダーを感じてワクワクしたものですが、そんな純真さを失った今では環境の変化が大きい新年度の方が良くも悪くも特別感がありますね。と言う事で出会いと別れの季節、新たな世界へと踏み出し一歩を歩み始める季節。結局大きな変化もなくこのままでいいのかと悩みつつもレイシアはまだ生きてます。

過去記事再掲でまとめに入ろうと思ったところでまた間が空いてしまいましたが、決して残弾が尽きたわけじゃ(ry まだ結局スタイルは固まっていませんがいつまでも過去の遺産にしがみついてんじゃねぇ、とばかりに久々の最近の作品の感想を書いてみました。いつも通りネタバレは反転してますのでよろしければどうぞー

 

 夏の色のノスタルジア(MOONSTONE)

シナリオ:7 テキスト:6 キャラ:7 音楽:7 絵:9 システム:8  お気に入り:真鶴みさき

Good

絵が素晴らしい

良質で濃厚なえちぃシーン

双子の妹、美羽√に双子妹シナリオの新境地を見た!!

Bad

重く強いメッセージ性と不思議要素てんこ盛りの割に全体的に駆け足気味であっさりなシナリオ

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夏の色のノスタルジア OPデモムービー - YouTube

シナリオ

冒頭はセピア色に彩られた回想シーン、幼い主人公兄妹が友人に呼び出されて向かった先には――。いきなり雰囲気にそぐわない血なまぐさくもキャッチーな過去回想から、エロゲでは定番?の兄妹でそろって電車での帰郷シーンから始まる物語。

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真紅に染まる想い出

両親の焼死シーンの回想が入ったり、主人公の持つ”人の感情を色で読み取る”能力だったりと序盤から伏線をまいたり、またかつての仲良し5人組が再開したものの昔と同じようにみんな仲良く過ごすことが難しくギスギスした雰囲気がどこかしら感じられたりと、序盤からただの萌えゲーではないぞ!と言わんばかりに攻めてきますし、実際読んでいて続きが楽しみでした。

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再開した仲良しグループだったが、お互いの心の距離は遠い

実際作中で語られる内容は両親の無理心中に性的虐待、死体損壊に自殺未遂などなど並べるだけで気が滅入りそうなネタが満載で、またどこかホラーサスペンス調な場面もあったりと、一見爽やかなタイトルや向日葵畑で微笑むヒロインズのイラストなどとは対照的。作中通して流れる何とも言えない重苦しい雰囲気は好きな人には堪らないでしょう。

ただ序盤からバンバン伏線らしきものを張ってくるのですが、やたら突然だったり強調されていたりと普通に読んでいてもあからさまに怪しいと思えるのにかなり引っ張るもんだからいざ明かされる段階になっても驚くというより「あーやっぱり?ですよねー」となる場面が多かったり。

またテキストは地味。良く言うと無駄が無い、悪く言うと面白くない。盛り上げようとつまらないギャグを入れて寒くなるのも勘弁ですが、本作ではそもそも読んでる人を笑わせようとか盛り上げようといったサービス精神がまるで感じられない程淡々としています。メンバーとしてクールにおっとり、不思議ちゃんに活発と会話に困らないメンツはそろっているし、会話や地の文の文字数も決して少なくないのにこのつまらなさは……どうしてこうなったorzまぁこういった辺りもどこかぎくしゃくした雰囲気の造成に拍車をかけているのは事実ですが、感情移入しづらく盛り上がるべきところでうおぉお!って成れない弊害の方が大きかったような。これらのせいで瞬間的な感動の強度は全編通してかなり低かったように思います。

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こんな和やかな雰囲気はそれほど多くありません。キャラクターは魅力的なのでもっと幼馴染ーズのにぎやかなお話も見たかったなぁ……。

ただしシナリオの作り自体はかなり丁寧で、各ヒロインごとにエデンから出て行きたくない理由と出ていけない理由があり、それぞれに対してちゃんと乗り越えていく流れに加え、トゥルー以外では放置されがちな主人公のトラウマもしっかりと解消しようとしている点は素晴らしいなと思ったり。

えちぃシーンの出来は公式で力を入れたと謳っているだけあってシナリオ寄りのゲームとしては出色で、質量とも十分なものでした。(各ヒロイン5.6回程)終盤に固まってしまうのは仕方のないことですが、無理にねじ込んでいるわけではなく、シナリオの展開上必要なものとしてえちぃシーンが挿入されている点も評価したいところ。

それに何より、水着や浴衣など魅力的な立ち絵があるのにそれを着てのプレイはないんかーーーい!!!と絶叫する残念な作品群が多い中で、しっかりと色々な衣装でのシーンが用意されているのは小躍りするほどうれしいですね、ハイ(蹴

 

またエデンという異世界に主人公君の特殊能力と言った不思議要素が前面に押し出されている割に、ヒロインごとのテーマが降って湧いたフィクションから妙に現実的な内容に収束していくのは個人的に好感が持てます。プレイ直後はせっかくエデンなどの仰々しい舞台装置を用意した割にこのギャップはどうなんだろう……と感じた物ですが、しばらく経って考えると評価は大きく変わりましたw

最後に明らかになる虚構の世界に居続ける事を望むヒロインズを救った主人公こそが一番虚構に呑まれていたという皮肉的な構図はすっごく心に残りましたね。

 

絵自体は勿論の事、最近のキラキラツヤツヤした画風とは一線を画す陰影際立つ塗りが堪りません

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 どうです?え、分かりにくい?……じゃあ一般的なエロゲ代表として私がただいまプレイ中の花咲ワークスプリングさんを呼んでみましょう。

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立ち絵で顕著なのは制服前面の陰の部分の面積の多さ。たぶん一般的な立ち絵が順光で描かれる中で今作は逆光で陰影をつけているせいでしょうか。暗い雰囲気漂うシナリオとマッチさせたかは定かではありませんが、この塗り方が上手くかみ合っていたのは間違いないですね。

一枚絵は夏ならではの鮮やかな色彩を伴った物が多く、こちらも魅力的。

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また昔の月石作品ではおなじみ?のほんのちょっとグロっぽい画像もちゃんと用意されていて、シナリオ中にすこし驚かされた場面もありました。こういうところで画像のあるなしで印象は大きく変わるし、そのあたりは抜かりないですね。

 

その他

 妹スキーとしては美羽シナリオは切り口が斬新で面白かったです。冒頭にも書いたように、他の女子に明確な敵意を見せる双子の妹(と共に田舎へと帰郷するものだけでも)のお話ってヨスガノソラだったり夏空のペルセウスだったりと色々と名作もあるわけですが、そのどちらも世間からの疎外感によって醸成された兄ラブがマックスボルテージ状態で肉欲に溺れてしまうのもオールオッケーだったわけじゃないですか。兄が好きで好きでしょうがないから、兄に近づく女どもは皆敵だー!ってなる。

でも美羽はすこし違っていて、むしろ性的なものが嫌で嫌でしょうがない。兄に近づく女だから敵視するんじゃなくて、兄を男性として見るからヒロインズが許せないという。

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と言うのも彼女が双子である兄を自分と全く同質の存在と見ていたのに性差を見てしまう事で否が応でも別個の存在であることを認識させられてしまう事が原因だったわけですが、この双子の分化のプロセスに迫った双子妹シナリオ、ましてや近づく女はすべて敵!への理由付けをしっかりとしてくれた呉せんせーにはもう脱帽です。

ちょっぴりヤンデレ風妹美羽ちゃんに会えただけでもプレイした甲斐があるってもんですね!!!!!

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 あと本当にどーでもいいですが、”ノスタルジア”ってタイトルに含まれる作品って本作と”未来ノスタルジア”くらいしかなかったのがちょっぴり意外でした。まぁ本当は対鶴に着けなくても言外にノスタルジックな雰囲気を感じさせるものなのかもしれないですが。