もしも明日が晴れならば プレイメモ ~chapter3”翼をひろげて”~
もしも明日が晴れならば プレイメモ ~chapter3”翼をひろげて”~
つばさの初恋
初恋だった。もう、十年近くも前。あの暑い夏の日に――
わたしは、はじめての恋をした
i間になって思うとその時の気持ちは、ただのあこがれに近かった。
だってその時、私はまだまだ子供で、人が恋をするなんて知らなかったから。
新しい家族となった一人の少年。彼の言葉と微笑みが、突然両親を失い悲しみに暮れていたつばさの心の拠り所となった。しかしそれは明穂も同様で。
…だって、勝てるはずが無かったから。お兄ちゃんは、いつもお姉ちゃんと一緒で――
お兄ちゃんは、とてもお姉ちゃんと仲良しで…
きっと、「好き」なんだろうな…って、分かったんだ。
お兄ちゃんはお姉ちゃんのことを。お姉ちゃんも、お兄ちゃんのことを。
わたしは、二人とも大好きで…何も、言えるはずなかったの。
自分の恋心に踏ん切りをつけるために、兄に姉へ告白することを勧めるつばさ。二人が幸せになるために、秘め続けてきたほのかな憧憬と恋心を全部忘れよう。大好きな兄と姉のために。
そしてそれは、二人が結ばれたことで果たされた…はずだった。
ところが明穂はすぐに死んでしまう。残された唯一の肉親すら失い、途方に暮れるつばさ。
お姉ちゃんの死という現実に、私はどうしようもなく打ちのめされていた。
そして、それ以上に――
…認めたくなかった。
わたしが、どこかで少しだけ、喜んでいる事実を。
お姉ちゃんが居なくなった以上、もしかしたらお兄ちゃんはわたしを見てくれるかも。
…そんなこと、考えたくなかったのに。
なのに、もう一人のわたしが囁きかけてくるんだ。
(もう遠慮しなくてもいいんだよ。だって…お姉ちゃん、死んだんだし)
こんな気持ち、認めるわけにはいかなかった。
とても醜い、こんなささやき声が――私の本音だなんて。
それから何週間も時間が経って、心のささやきに流されそうになって。
明穂を失った悲しみを埋めるかのように、再び恋する気持ちを取り戻してしまったつばさだったが、その時になってふたたび明穂が幽霊となって還ってきたのだった。
満員電車の中で
家を出るのが遅くなってたために電車に乗り損ねた一行。一本後の電車は非常に混雑し、明穂は以前痴漢に遭ってしまったトラウマから”死んでも乗らない”という言葉通り今日は電車ではなくそのまま学校へ向かうという。
ギュウギュウに詰まった電車の中、つばさをかばうように乗る一樹。吐息がかかりような距離の中でつばさは一樹に体をもたれかかる。
お兄ちゃんを照れながらも一生懸命誘ってるこのシーンの萌えポイントの高さは相当の物だと思うんだ!
そしてそして、マイシスターつばさの姦計はこれだけでは終わらないッ!!
――翌日。
再び明穂、千早の幽霊組は先に学校へ向かう事に。
「二人っきりだね」
「ねぇお兄ちゃん」
「あのね、今日は次の電車がいい」
「もっとくっついていいよ」
ああああああああもうっ!!こんなん反則だろ!!
つばさ可愛すぎるやんけぇええええ(殴
……
…
ふぅ、あぶないあぶない。もうすこしでつばさセーブデータ巡りから帰ってこれなくなるところでした。
となみにこの時車内で一緒に買い物に行く約束をするのですが、これがまた一波乱引き起こすことに……
お茶はいかが?
部屋でくつろいでいた一樹の前に突然床をすり抜けて上機嫌な明穂が。ハイテンションな明穂に連れられなんだか無理やりリビングへと連れてこられた一樹。
一体何が始まるのか…と思いきや。
「それで、一帯なんなの?」
「ふふふ…っ、あのね、カズちゃんお茶飲みたくない?」
「別にのどかわいてないけど」
「飲みたいわよね?」
~~
「えっへへ~~、いまこそ特訓の成果を見せてあげるわっ。
そ~れっ♪、準備OK!こっちにいらっしゃ~い!」
名幼なじみにして名ヒロインの明穂さんはもうそのすべてが愛しいわけですが、このシーンは作中でも一二を争う大好きなシーンだったり。
カズちゃんに生前の様な美味しいお茶を飲んでもらいたい、ただそれだけのために物に触れることもままならない明穂が千早に一日中つきっきりで教えてもらって。
嬉しそうにドヤ顔でお茶を振舞ってくれる姿も可愛いですが。
そしてそれを飲み終わった後のこのやりとり。
「ありがとね、カズちゃん」
「…何が?」
「いろいろよ」
いつも憎まれ口をたたいている明穂だけど、ごくまれに、こういう事を言い出してくる。
「お茶一杯が感謝の気持ち?」
「…だめ?」
――ほんの少し考える。
「ちょっとたりないかもね」
「だったら、もっといろいろ出来るように頑張ってみるわね」
「…そうじゃなくて、明日も淹れてくれる?」
「え…?そ、そりゃ、もちろんだけど…、お茶だけでいいの?」
当然とばかりに、頷いていた。
「カズちゃん……」
「ありがと、それから、ごちそうさま」
もうなんか定年後の熟年夫婦が縁側で交わすかのようなやり取りみたい。
お互いのことを深く理解しあっているからこそ、これだけの言葉でもどれだけ深い思いが込められているのかが伺えます。
ああーもうっ!やっぱり明穂は可愛いなぁ……。
つばさとの約束
満員電車内でつばさと買い物の約束した一樹。荷物持ちを頼まれたのかなーと相変わらずの鈍感ぶりを発揮して明穂と一緒に待ち合わせ場所へと言ったのが運のツキ。
一緒に家を出るのではなくわざわざ駅で待ち合わせをしたと言うのを聞くうちに動向する明穂は気付く者の時すでに遅し。
つばささんの笑顔が怖い…怖すぎるよ。
「いいのっ!わかってるんだからっ!!
お兄ちゃん、お姉ちゃんの恋人だもん。わかってるよ、こんなの可笑しいって…。
そうだよね、わたしとデートなんてできるはずないんだよね…?」
「って、デート…?」
「ぅわ、カズちゃん、全然気づいてなかったの?」
「いや…、だって……」
「あたりまえだよ、私はお兄ちゃんの恋人じゃないんだもん…。
お姉ちゃんがそばにいるんだから!あたりまえだよっ!!」
~~
「…ごめん」
「どうして謝るのよぉ!お姉ちゃん悪くないじゃないっ!!」
「だって…、私…つばさのこと解ってるのに…」
「やめてよっ!お姉ちゃんに…お姉ちゃんに私の何が分かるって?!私以外に私のこと、何もわかるわけないじゃないっ!」
~~
「ほっといてよ!!!お姉ちゃんなんかっ
お姉ちゃん…なんか…大っ嫌いっ!!!」
思わず感情を爆発させるつばさ。
もしらばを自分が初めてプレイしたのってエロゲをやり始めて割と初期の頃、Kanon、D.C.から始まりまだプレイ本数が10本にも満たない位だったのでした。
まだ比較的ライトな作品しかプレイしてなかったせいもあってか、ヒロインはアイドル稼業と一緒で愛されてナンボ、一生懸命主人公(=プレイヤー)に愛想を振りまくのが至上命題なのだろうという先入観があったのかこのつばささんの言動には驚かされました。
つばささんときたら、自分の思い通りにならないからってヒステリックになり、不条理にも何の落ち度もない明穂に当たり散らします。道理も論理も通用しない、感情論だけでもはやまともな議論なんてできたものじゃない。さらにはそれを周囲の人間が諌めようとすると、自分ばかりが寄ってたかって非難されていると被害妄想チックに増々意固地になってしまう……ああまるでわが母のようではないか!w
可愛いつばさの姿を見て身内を連想するのはなんとも(゚д゚)マズーな話ですが、それだけ彼女が全てにおいて都合のいいヒロインではなく、よく言うとリアルな女性っぽさを持つ、悪く言うと面倒臭い少女であると言っていいってことなのかなーと。
もしらばに限らず、NYAON氏の描くキャラクターはどこかこういう側面を持っていて、それ故に見ていてイライラハラハラさせられることが多いように感じます。
それ故か一般受けはそこまで良くないようで、くすくす×NYAONというぱれっとの看板の座がすっかり今ではつばす氏に奪われてしまったのはさびしい限り。
そしてつばさのボルテージは増々上がっていき、ついには……。
「嫌っ!何も訊きたくないっ!!!」
振り払う。つばさが明穂を振り払う。
「お姉ちゃんの所為だよ!
お姉ちゃんが…、お姉ちゃんがいるからっ!」
「つばさ…っ、いい加減にしないと怒るわよっ!?」
「いい加減にしてほしいのはわたしの方だよ」
青ざめて震えるつばさの姿に気が付いた。
「…つばさ?」
「寝によ…、お姉ちゃんの…ばか。
なんで…、ほおっておいてくれないのよ…?」
「私はつばさの姉だものっ!」
たぶん、その言葉が引き金だった。
「やめてよ…、もう……。
邪魔しないでよ…、ずっと前から、私の邪魔ばっかり…。
お姉ちゃんの所為で、わたし……」
――悪い予感がした。
「死んじゃったくせにっ!いまさら付き纏わないでよっ!!!」
あーあ、言っちゃった……。
いくら本気でブチギレたとしても、言っちゃいけない…というか、言ってしまうと相手との関係修復が困難になるぞと心のどこか理解して自然と言うのを避けてしまう一種のラグランジュ点のような言葉。
つばさがここまで感情をあらわにして見せたのは一樹的にはこれが初めてだったという事なので、今まで長年にわたって積もり積もっていた感情が一気に爆発してしまったんでしょうけど、これは流石になぁ。。まぁ悪いのはすべて一樹なんで(ぁ
因みに姉妹での三角関係ってことで、この展開は絶対来る(というかシナリオのヤマ)だろうとは思ってましたが、それを個別ルートではなく共通でやっちゃうの!?と言う意味でも驚き。
この後家出をしたつばさは珠美に保護されます。
そして迎えに来た一樹へと、未練を断ち切ってもらうべく告白してフラれるつばさ。
最後に「わたしは一生お兄ちゃんの妹のまま?」と言う問いに一樹が堪えようとした瞬間――
地面の中から明穂参上!
こうして義理の姉妹による一樹争奪戦が繰り広げられるのであった……てな事には残念ながらなりません。
それもこれも一樹が優柔不断の甲斐性無しせいだ!うらやましいぜコンチクショウ!!!
to be continued…