できない私が、くり返す。 栗原 ゆめシナリオ 感想
栗原 ゆめ
詩乃と一緒にいる時に出会って紹介されて知りあう事となる藍里と未喜とは異なり、ゆめは陸が直接出会う少女で、詩乃との繋がりも薄かったりと他の二人のサブヒロインとは若干立ち位置が異なります。
所謂ステルスオタといういやつで、アニメに漫画が大好きだけど中々周囲に打ち明けられずにいる代わりに、そのことを知っているごく近しい人間に対しては熱心に語らってしまう。……あ、なんか自分にも身に覚えがあるぞ!?と思わず生暖かい目線で眺めてしまったりw
そんな彼女との馴れ初めは、よそ見をしていたところをぶつかって……という王道テンプレ展開。でもゆめのビジュアルと声のおかげか、『この子なら仕方ないな』と思わず納得してしまいそうになるほどの天然ちゃんな雰囲気が全身から感じられます。その際に陸が落とした時計を一目見て、かつてゆめの祖父が持っていた"時間を巻き戻す時計"だと気付いたのがきっかけで話をするように。幼いころから"時をもどす時計"の話を周囲にしても誰にも信じてもらえずに嘘つき呼ばわりされていたのだが、それがここにきて信じてくれるどころか、体現者が現れたもんだから一気に心を許してフラグ成立。
このままゆるふわオタイチャラブを突き進むのかと思いきや、そうは問屋が卸さない。ゆめのことが好きで好きでたまらないヤンデレ少女、米山 美羽が登場。陸の事を嬉しそうに語る恋する乙女と化したゆめを見て嫉妬の炎がバーニング。事ある毎につっかかりゆめと近づけてなるものかと憎悪をぶつけてきます。
それは演出上仕方ないとはいえ、あまりに二人でいる時間短くないっすか!?ただでもゆめは詩乃との関係が薄いせいで共通での出番が少ないんだからさ、個別シナリオでくらいもっと睦まじい姿を眺めたかったなぁ……(白目
ともあれ、美羽の妨害にもめげずにゆめとの恋人関係を突き進む陸へのストーカー行為は次第にエスカレート。ついには陸の寝込みを襲ったりゆめを傷つけたりといった刃傷沙汰にまで発展してしまう。彼女の狂気と独占欲は収まらず、ついにはゆめにも魔の手が……。篤史にしても藍里にしてもそうですが、本作の掛け合いは一々極端すぎるというか、注目を浴びるために気を衒った馬鹿な事やって喜んでいるユーチューバーじゃないんですから、もうちょっと普通な土俵で勝負をしてほしかったですね。インパクトさえありゃ良いってもんじゃないですよ、ホント。
という感じで、あまりに美羽の存在感が強すぎてゆめと一緒に過ごす日々が喰われまくってしまって。シナリオ的には美羽を救済しているわけだからほとんど美羽シナリオと言っても過言じゃないような気が。
偶然にも時計の所有者が身内にいた!という美味し過ぎる設定が陸の事に関心を寄せる出会いのフラグ建設にしか使われなかったのはある意味衝撃的。ゆめちゃん持ち前の包容力で強引ながら丸く収めてしまう展開は楽しむことが出来ましたが、もうちょっとゆめ自身との色々な話を期待していた自分としてはちょっとなーという感じでした。
最後デレた美羽ちゃんは可愛かったですが、人間の本質なんて言うものはそうそう変わる事がないので最後の三角関係はまるで薄氷の上にいるかのような危ういバランスの上で成り立っている一時しのぎのような気がするし、陸に気があるならば今度は持ち前の独占欲でゆめを排除にかかるのではないかと彼らの未来が不安でなりませんでした。
私はできた人間ではないので自身の欲望からゆめを散々いたぶった美羽をそう簡単には許す気にはならないし……って話はまた後日。
以下あらすじ注意。
タイムリープ
寝込みを襲いに来た美羽をギリギリリープして回避、待ち伏せして説得を試みるも逃げられてしまう。荒れ果てた美羽の家で目にしたのは全身を切り付けられ嬲られたゆめの姿だった。このまま助け出しても親友に傷つけられたゆめは心に深い傷を負ったままになると考え、陸はゆめを拉致されないように学校の正門を見張っていたものの、迂闊にも裏門から出た美羽に連れ去られてしまう。美羽の家にすぐに押し掛けたのが功を奏し、ゆめが傷つけられるという結果は変わらなかったが、その傷痕はリープ前より遥かに少ない状態で蛮行を止めることが出来た。その後目を覚ましたゆめは美羽を許したうえで彼女の好意を受け止め、美羽が求めた二人で肉体的に深くつながる手段として陸を介した3Pを提案。その甲斐あってか美羽は陸に心を許し、ゆめと仲良く三角関係を続けていくのでした。めでたしめでたし。
……って、ええっ、ゆめの安全第一ならリープし直して裏門も見張ったりし直した方がよくねぇっ!?
ではまたーノシ