オーディオ迷宮輪舞曲part3 〜電源の向こうに繋がる世界〜

前回のあらすじ
『オーディオアクセサリー色々と試したけどあんまりよくならない~!それってもしかして電源のせいじゃない?』
hikari-sekai.hatenablog.com

ついにやってきました電源編。
オーディオ沼にズブズブと沈んでいくのはこのあたりから。

これまで触れてきませんでしたが、別に『電源で音が変わるわけない』などと原理主義的に電源系に無頓着だったわけではありません。
電源ケーブルキットが付属になっていたムック本(昨年末第二弾が発売されたらしい)から始まり、1,2万円程度で販売されているケーブルを各メーカーの製品を買ったり借りたりして聞いていたものの、その結果感じたことは『音は確かに変わるが、聴き比べてやっと気付く程度の微小なもの』でした。

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……この知見は本当なのだろうか?

オーディオ評論家の福田氏は常々『オーディオケーブルは生命線、電源ケーブルは運命線』と仰っている。また世間では何十万円という驚く様な価格の電源ケーブルも多数販売されています。仮にいくら経済的に余裕があったとしても、そんな取るに足らない変化の為に大金をつぎ込むはずがない。
そうすると考えられるのは、「もっと高額な電源系アクセサリーでなければ大きな効果が得られない」か、「オーディオシステムが電源の変化を知覚できる程度まで未だ洗練されていない」ではなかろうか。

オーディオシステムの洗練というものには電源系も含まれているだろうという事で、一度お高い製品を買ってみてそれで効果が薄ければ電源系はもう触るまい、どうせ買うのだったら行けるところまで行っちゃえ!と思い切って一度より高額な製品に手を出してみる事にしました。


電源ケーブルであればどれほど良いケーブルであっても効果が得られるのは繋いだ製品一つだけ。しかし電源タップであれば繋いだ製品すべてで効果が得られるのでお得だろうと、アルミ合金を使った電源タップに定評のあるメーカーのものを大阪のショップが独自に魔改造したタップを購入した。
電源タップにもかかわらず、なんと定価は十万円を超える。当時は一本一万円程度、一番高いものでも三万円ほどのケーブルや、電源タップも定価五万円の製品を半額以下の中古品で入手するなど、内心『オーディオ製品高すぎぃ』とぼやきながら涙ぐましい努力で入手していたためかなりの思い切りをもって導入した記憶がある。

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さて、その結果は……心底驚いた。低域がどうといった評価以前に、そもそも音全体のクオリティが底上げされたように感じたのだ。オーディオシステムが初めてのびのびと自分の力を発揮したかのような感覚だった。

これまでケーブルを繋ぎかえては曲の冒頭を聴き比べ、変わったとかあまり変わらないとか悩んでいたのが一体なんだったのかと思う程の劇的な変化。この電源タップを導入したおかげでこれまで掴み辛かった各種オーディオケーブルをはじめとしたアクセサリーの音の傾向が掴みやすく、比較試聴が以前とは比べ物にならない程捗るようになったのだった。

電源ケーブルは運命線』とはよく言ったものである。やはり電源系は効果がある!それも下手をすればコンポーネントの評価をも覆してしまうかもしれないほど途轍もない可能性を秘めているのだ。ならばケーブルもより上のランクの製品にすれば一体どうなってしまうのだろうか!?

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買っちゃいました、はじめての高級電源ケーブル。ハイエンドオーディオ製品を出しているブランドであることへの安心感、市販されていない堅牢なプラグが装備されている事を受けての選択です。特別仕様モデルが安く出物があったとはいえこちらも定価で十万円を超えるお値段の製品だけに、ワクワク三割ドキドキ七割くらいの心持で繋いだのを覚えています。

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パワーアンプに繋いだところ幸いその効果は直ぐに表れ、ありきたりな表現ですがまるでアンプをグレードアップしたかのようにレンジが上下とも広がり、パワフルにとてもよく鳴るようになりました。

やはり良い電源ケーブル、ひいては良い電源環境を構築することでシステムの音が良くなる。
『音が良くなる』というとちょっと語弊があって、それまで"電源環境が悪いせいで機器の実力が発揮できていなかった"のが、電源環境を煮詰めるにしたがって性能が目減りする割合が少なくなったと言った方が正確な表現を期すると思います。ともかくこの変化を実際に体験する事が出来ただけでも無理してお高い電源機材を試してみた甲斐があったというもの。
しかしだからといって、仮にアンプ以外のコンポーネントにも繋ぐためにこの電源ケーブルを複数追加で導入したいかと聞かれるとそうは思いませんでした。その理由は良くなったには違いないが、投資したコストと秤にかけるとそれに見合うだけの向上であったか少し悩ましい部分があったからに違いありません。

さらにそれ以上に問題だったのが、このケーブルは重く曲がりにくい為取り回しが非常に悪い事でした。繋ぐ機器の電源インレットに負担がかかるし、なにせ先の電源タップが軽量なこともありケーブルに引っ張られて浮いてしまい目も当てられない状態になってしまいます。

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この電源タップの音に不満は無かったものの、電源ケーブルに引っ張られても浮かないようなしっかりとした製品を探す事にしました。傍目から見ると完全に本末転倒状態に陥ってしまっていますが、当時は「なんとしてもこのケーブルを使いたい」故に止む無しといった感じで、いくつかがっしりとしたタップを試してみたものの、肝心の音質的に合わないといった事を繰り返しました。

そんな折、これからのオーディオを形作る製品に出会う事になるのだった……。

2017年11月ごろのシステム
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『怪異!?謎の増殖する木箱』についてはそのうち稿を改めて書くことにしようと思います。

オーディオ仙人『schwarzweißはこれで終わりじゃが最終回じゃないぞよ もうちっとだけ続くんじゃ』

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〈  To BE CONTINUED…//// |
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Part4はこちら
hikari-sekai.hatenablog.com