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魔女こいにっき レビューというか感想

ギャルゲー レビュー、感想とか

ご無沙汰してます>挨拶

忙しくなるとめっきり更新が途絶えてしまうのは相変わらずですが、仕事と艦これに追われつつもなんとか生きています。……おかしい、何のためにブログリスタートしたんだorz

前の更新から”ひこうき雲の向こう側”と”魔女こいにっき”をプレイしまして、とくにひこうき雲にはグッとくるものがあったんですが、久々の更新の今回はとりあえず直近の魔女こいにっきのレビューというか感想をば……。愚痴ともいう

ネタバレは反転で隠していますが、体験版位の情報は普通に書いてますのでまっさらな状態でプレイしたい方は見ない方が良いかもしれません。

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魔女こいにっき(Qoobrand) 

 

◆絵

四季シリーズでもおなじみの小桜りょうさん、主に同人やラノベでの印象が強い狗神煌さんと朝倉はやてさんの3人体制なのですが、色塗りの丁寧さのおかげもあってどのキャラが同時に並んでいてもあまり違和感を感じなかったのは素晴らしかったです。

なによりみんな可愛いですよね!

特に毎朝学校に履いていくおぱんちゅに悩むありすちゃんとか最高ですw

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絵のタッチの好みもあって十分なレベルに達していると思うのですが、残念だったのは”なんでこの場面でCGが無いのか?”と思える場面が多々あったところ。

エロゲという媒体は文章と絵、そして音楽音声が合わさって初めてこちらに訴えてくるものと思いますし、新島氏の過去作を見る限り氏はそれを大切にしてくれるライターさんだと思っていましたが今作ではなんだかなぁ。

例えばありすの理容室が放火に遭うシーンおばあちゃんになったありす本来の姿が一枚挿入されるだけでテキストだけさらっと流すより読んでいてずっと受ける印象と感情移入度は変わったと思いますし。特に文章での心に訴えかけるウェイトの低い本作ではむしろそれを補うくらいCGを入れてほしかったです。

 

◆音楽

水月陵さん、樋口秀樹さんの音楽は相変わらず素晴らしいの一言。作品の雰囲気を盛り上げるのに一役買うどころかむしろテキストや絵を差し置いて聞いているだけで世界観にグイグイ引き込んでくるような印象でした。

過去作で聞いたようなフレーズの曲があったような気もしますがその辺も含めて好きなのかも。

ヴォーカルは全4曲。

 

◆シナリオ

新島夕料理長監修“はつゆきのone風味ナツユメ仕立て“とでも言いましょうか……。

はつゆきさくらやナツユメナギサといった同氏の作品が大好きで期待していた身からするとまぁ一言でいうとすっごい微妙。

新島氏のシナリオの魅力は大きく分けて

・不思議が自然に同居する世界観と、視点変更と時間軸の前後を多用し伏線がちりばめられたシナリオ

・地の文が少な目の掛け合い中心のテキスト

の二つだと感じています。

ナツユメナギサにしてもはつゆきさくらにしても、各ヒロインズのシナリオに秘められた数々の伏線が一つに結びつきトゥルーシナリオへと帰結していく様子は読んでいてもう鳥肌モノでした。

そして基本的に地の文が少なく淡白だけど、どこか厨二っぽさや”物語”的な深さが感じられる表現がちりばめられていたりする傾向のテキストで、細かい描写や圧倒的な文章力で魅了するというよりは、短い台詞の掛け合いメインでテンポよく進んで要所でエフェクト、CG等を効果的に利用することでBGMやボイスとの合わせ技で読み手の心を揺さぶってくるみたいな。

前者はともかく、後者は長所であると同時にさじ加減を間違えると表現不足という深刻な欠点にもなる言わばもろ刃の剣のようなものでなんですよね。

一日が数クリックで終わってしまったり、作中の一週間分のテキスト分量がちょうど某タイトルの朝の登校シーン位にしかならないんじゃね?と思わせる程の文章量だけど、過去作では新島氏の絶妙な匙加減で不満を抱かせないようなむしろ勢いのあるシナリオと感じてしまう。

で、本作はどうだったかと言うとこの新島テイストの負の側面が際立ってしまった、と言う印象です。

 

本作もシナリオは基本一本道で、メインヒロイン(であり主人公でもある)ありすが魔女こいにっきの失われたページとして他のヒロインシナリオを蒐集していくという形で語られます。

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集めるのが魔法少女の定番よろしくジュエルシードやソウルジェムなんかではなく恋物語と言うかえろしーんなのが個人的にツボりました。それを見て(><桜)==3ぴゃー!っとなりつつも興味津々なありすの様子とかも可愛すぎてw

しかしこのありす以外のヒロインのシナリオがあまりに残念すぎる。

まず新島テキストに他のライターが合せられていない点。いや、メインライターに合わせようとする姿勢は素晴らしいんですよ?むしろプレイ時の違和感を軽減することにつながりますし、積極的に挑戦してほしい所。でも今作を読んでいる範囲ではやはり他のライターには荷が重かったのか、短いだけで単なる文章力が無いようにしか見えないお馬鹿なお話に終始していたように感じました。現実のパロディなんてものはたまに混ぜ込むから面白いのであって、これでもかと連打されたらしらけるし、大体なんやねん(11クリックぶり、二回目って)……。。

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基本酷かったヒロインズの中でも特に聖シナリオだけは群を抜いてましたね。

返せよぉ…ぼくのふーりんをかえせよぉおおおおお!!!

あ、逆に恋のシナリオは結構に楽しめていたり。恋自身のキャラクターが自分的にすっごくストライクだったこともあって、シナリオも掘り下げようと思えばいくらでもできるのにあっさり終わってしまったのがもったいないくらい!

 

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そしてライターの違いによってシナリオ間ではっきりと感じ取れる主人公の性格の違い。この話題で避けては通れない”かにしの”の司センセもビックリなレベルで別人になってます。

片や奔放で自分の夢に忠実な自由人、片や数多のエロゲ主人公のようなヒロインの事を気に掛けるツッコミ担当。人間性としては本来後者の主人公の方が好感を持てるはずですが、この作品にはふさわしくなかった。彼は最初から最後まで夢を語る存在でなくてはならなかったのだ。

というか本作のシナリオって感情移入しずらいんですよね、軽いんです全体的に。主人公は移り気で浮気性の軽い男だし、各ヒロインのお話も結局は夢オチだったり、ご大層な内容なのにあっさり終わってしまったりと。

 

本作はプレイしていて敢えて時代背景を感じさせないような配慮が其処かしらに見受けられます。これはその理由と工夫は見ていて正直スゲーっとなるのですが、それを某ヒロインシナリオでぷち壊しにしてしまっているのは何ともかんとも……w

ただこれに関しては直前にたくみくんがわざわざDVDプレーヤーはないけどビデオデッキならあるって言ってるあたり、ライターさんがこの事を把握していたのは間違いと思うんだけど……でもあれだけ大きなヒントと言うか解答提示するにしてもほぼ初っ端に持ってくるのはどうなんだろう。

 

という事で、複数ライターの弊害がモロに出てしまっていて、このあたり制作サイドのディレクション能力不足と言わざるを得ないでしょう。

そして余談になるけれど、オーガストのライター陣ってとんでもなくすごいんだなぁと改めて感心。さすが八月、中々できない事を平然とやってのけるッそこにシビれる!あこがれるゥ!(AA略

 

そうそう、その複数ライターのメリットもありました!それは……えちぃシーンが濃い(のもある)点ですw

いやぁ、これが中々深刻な問題でして、新島氏の描くヒロインは魅力的だけど主人公が早r…もとい、いつもえちぃシーンが短いんですが、そこはおそらく博恵夏樹さんが頑張ってくれたんじゃないかなーっと想像します。これはマジGJ!ただ実用レベル化って言われると??(何

 

じゃあ新島氏のシナリオ以外の部分で足引っ張られただけかというとそうでもなくて。

一本道シナリオにおいてメイン以外のヒロインのシナリオって言うのは枝葉のようなもので、どうしてもメインと比べると霞んでしまうのは仕方がないことだと思います。いや、むしろこの方針で物語を書く最大のメリットが、製作期間と予算が限られたエロゲにおいてできる限り多くのリソースを幹となるメインヒロインにつぎ込むことが可能になる点。幹を太くするためなら枝葉がやせ細ったりするのも、思い切って剪定してしまうのも仕方のないことだと思いますし、実際氏の過去作を見ているとそういう割り切った傾向もある気がします。

前述のとおり、本筋とまるで関係のないキャラクター(具体的には恋、こずえ、美衣、聖)が残念だったのは仕方ないとしても、時計坂姉妹と崑崙も……。。

てかなんなんですか、最早あの企画倒れの言ってみただけ状態になってる時計坂十二針の設定とか、時計塔に上るときの「敵出現→お前に任せた→上階へ→敵出現→私に任せ(ry」という展開も大概だけど、極めつけは歌音さん。積年の想いの果てにラスボス風に登場したまではいいけれどあまりにあっけなくやられてしまって、あそこはリアルに「えぇええええ!?」ってなりましたw

そのせいで彼女の想いの程が逆に薄っぺらく感じてしまったような。。もう単に嘘屋スチームパンクシリーズみたく単にチクタク言わせたかっただけちゃうんか!とだな

 

崑崙ちゃんは短いけど可愛かったですよ。短いけど。と言うか単にひたすらイチャつくだけのシナリオ(そこに重要な意味があるとはいえ)なのでミステリアスな普段の彼女とのギャップに萌えられるのは良いですけど、せっかく重要なポジションにいるんだからもう少しうまく使えたんじゃないかなー、とも思ったり。

 

ありすのお話、シンデレラストーリーはネタバレ全開になるので細かく書きませんが中盤までは楽しめました。わざと色々ぼかした表現が多いんですが、その辺り上手かったと思います。ただ短いストーリーの中で唐突に近所のおばさんが雑談中に隣町の放火の話をし出したら誰でも身構えますってw

 

でラストシーンでは無事ハッピーエンドを迎えるわけですが、おいおいなんだこの取ってつけたような安直なラストは!!驚きの余りタイトル画面に戻ってきてしばらく呆然となったのですが……

 

次行より重大なネタバレにつき反転

 

突然急にお話が再開、まだ終わってなかった……だと!?というあの演出はニクいですねー!聖ルートはもうかっとばして進めていたため“あっちゃん”の部分はまるで記憶にないですががが。

一見すると後味が悪くなるだけで蛇足としか思えないアリスとのラストシーンですが、主人公もヒロインも結局何も成長することなく迎えてしまったハッピーエンドはまさに仮初めの物で、魔女こいにっきの真価はまさにここにあると思います。

嗚呼、夢を語るだけでなにも実現できなかった移り気な王が唯一現実にすることが出来たのは、棄て去った女に語った自ら歯車となる事で得られた永遠だけなのね。でもこれって結局自業自得じゃん……と言うのでは余りにそっけないのでもうちょっと考えてみると、

「あなたのことをずっと見てたっ。あなたが私を見なくなってからも。永遠に愛するって言ってくれたのに!!ずっと一緒だって言ったのに……あなたは、別の子を見る。私の好きな人が私を好きじゃない……そんな絶望に、私は取り残された」

―――アリス

「君に一目ぼれをしたから。永遠に一緒にいたいと……思った。けど変わってゆくんだ。確かなものなんてない。だから人は……いや、俺は、物語を求めるのかもしれないな。そこには永遠が閉じ込められているから」

―――ジャバウォック

 

このやりとりを見ていると、移り気なジャバウォックは物語の主人公、つまりエロゲーマーが投影されていて、アリス=ヒロインと言う風にも読み取れます。

○○は俺の嫁!なんて言いながら次が変わって別のタイトルが発売されれば、あるいは放送が終わって次のクールが始まればまた別のヒロインが嫁の座に居座っているという軽薄なコンシューマーへの皮肉たっぷりなんだろうなぁ、と考えるとすこし心のどこかに刺さるものがありますし面白いのは確かです。

またこのENDは本編中で繰り返されてきた

"おとぎ話ならここでめでたしめでたしで終わるだろう けれど人生はそうはいかない"

ってフレーズにリンクしているんでしょうけど、本編をマルっと読んでみても正直メッセージ性に欠けていて、まるで重みを感じなかったのが……。。

 

反転ここまで!

 

前述のパンツになやむありすちゃんも実は伏線になっていたりと、キャラは可愛いし楽しめなかったわけじゃないですが、感情移入が阻害されるようなマイナスの部分がそれを上回ってしまったように思います。

もしこの“魔女こいにっき”と言う作品が、この最後の一瞬のために語られた物語だったとしたら、物語を人生に昇華させるには本編だけではイマイチ説得力に欠けているように見受けられました。

CLANNADやいろとりどりのセカイ+ヒカリみたいに圧倒的分量で山あり谷ありを表現するか、あるいはひこうき雲の向こう側の様にそれが感じ取れるだけの演出が欲しかったというのが率直な感想です。