戦姫絶唱シンフォギア 視聴感想

シンフォギアやばい!>挨拶

ヤバいっていう表現でしかその素晴らしさを表せない私の脳内も大概ヤバいのですが。それはともかくアニメ無精者のレイシアが一週間掛からずに全話完走してしまう程に、面白さと引き込まれるような疾走感がヤバヤバでした。と言う事で今日は具体的にどこがどうヤバかったのかをちょいと書いてみたいと思います。
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"なんでもアリ"を許容させる物語展開の速さ

シンフォギアの魅力は何と言ってもその物語展開のスピード感が尋常でない事でしょう。手始めに第一話のお話を振り返ってみましょう。

第一話 あらすじ

冒頭、いきなり雨が降りしきる中、友人のお墓参りをしている少女の嘆きから物語は始まります。
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この子達はいったい誰なのか、と言った疑問を持った時には一気に物語が二年前へとさかのぼります。先程の墓標の彼女がライブに並んでいる場面を経て、華やかなステージが開幕!たかみな×水樹奈々という豪華ツインボーカルでテンションが上がります。
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と思ったら急に謎の敵が出現!観客が襲われて会場はめちゃくちゃに。
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そんな人々を救うために、変身し歌いながら華麗に戦いだす二人の歌姫。
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しかしいくらなんでも多勢に無勢。防戦の巻き添えで観客として来ていた冒頭の遺影の少女、響が犠牲に。
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こうなれば最終手段、力を開放して敵を殲滅する奏。しかしそれは同時に奏の命をも燃やす尽くすのであった。
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奏の死を慟哭する翼、一方響は懸命の手術により一命を取り留めるのであった……。

初見感想っぽく大雑把に書いて見ましたが、これだけ色々とあってまだ一話の半分(14分)ですからね!?
まだ世界設定も分からなければそもそも主人公が誰かすらもこの段階では分かっていない状況で、これだけの情報量をあの短時間に詰め込んでいるもんですから、まさしく視聴者置いてきぼりという表現がぴったりなお話でしょう。キャラクターや世界への理解が進まないため物語への同調の妨げとなる情報の過多ですが、シンフォギアでは墓参りや派手なライブに戦闘、挺身による殉職と言った心を強く揺さぶるパフォーマンスを開き直るかのごとく連打することによって、説明不足による無理解の不満よりも何が起こっているのか理解したい欲求のほうが上回るよう誘導しているように見受けられます。
こういった"勢い押し切る"と言う展開はシンフォギアの作中では度々みられて、特に最終話付近でも、fineとの突然の和解やクリスちゃん絶唱で燃え尽きた……根はいい子そうだったから悲しいなぁと嘆いていたのに次の回でふらりと復活したりしていて、さっきまでの感動の演出はなんだったの!?ズルい、良くも弄んでくれたわね!!っと色々とツッコみどころ満載のはずだったんですが、そのままテンションで押し切られたというw(ネタバレ部分反転)でも内心狂喜乱舞したのは秘密
なお一話はこの後"舞台は再び現在へ"という文字と共に、平和な学園生活を送る響が謎の敵ノイズに襲われ絶体絶命、体内に残るガングニルの力が目覚めて変身をするところで終わりとなります。平凡な魔法少女モノであればこの後半部分だけで一話丸々使っていそうですよね。
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禁じ手、挿入歌乱舞!

劇中の挿入歌……それはどのようなメディアであっても視聴者の心を昂ぶらせる魔法の演出。
天元突破グレンラガンでは最終話に空色デイズが流れ始めると共に螺旋力がゲージを振り切ったドリルで天を衝く熱すぎる展開に心が燃え上がり。
魔法少女リリカルなのはでは最終話で全員が順番に名乗り口上の上で必殺技を放って行くと言うちょっとバカっぽい展開にもかかわらず流れるBRAVE PHOENIXのおかげで胸熱で。
マブラヴ オルタネイティヴでは桜花作戦冒頭の指令の演説と共に流れるCarry onに、まるで自身も最後の決戦の地へと向かう挺身隊の一員となったかのような錯覚すら感じられ。
Airでは観鈴ちんの最後の頑張りとごーるの場面で流れる青空に、その慟哭がより一層深くなり、もはや青空のイントロを聞いただけで泣いてしまうパブロフの犬となり果てる。
挿入歌が流れ出すと、物語的にも盛り上がる場面なんだろうなと自然と身構えてしまうのは自分だけでは無いはず。
そんな本来であれば"ここぞ"と言う時にしか用いられない、"物語演出としての奥の手"であるという思い込みを逆手にとってしまったのがシンフォギアなのだ!
先に紹介した一話から豪華ツインボーカルによる二曲に加え、奏と翼それぞれの戦闘曲で計四曲というハイペースはその後も衰える事無く、戦闘の度に歌いながら戦うものだから毎度同じ曲とは言え挿入歌が掛からない方が珍しい事態になってしまっているわけだから、そりゃあもう脳汁ドバドバでまさにまるで毎話クライマックス状態!!(謎
また、ともすれば間抜けな絵面になってしまいそうな"歌いながら戦う"と言うのがあれ程かっこよく映るのは、同じ技でも毎回変わるスタイリッシュな戦闘の描写だけでなく、使い回しとは言え楽曲による部分も大きいと感じました。個人的には翼の戦闘曲がもう無性に好きで、"去りなさい 夢想に猛炎 神楽の風に滅し散華せよ!!"ってフレーズあたりは聞くたびにテンションあがっちゃって大変なことにっ!?(ノ∀`)

大味だけれどそれを上回るほどのノリ勢いで魅せるシンフォギア。とにもかくにも恐ろしいまでの疾走感であっという間に楽しませてもらいました。
幸いなことに二期、三期もあるようですのでそちらも見ていこうと思います。と言うかシンフォギアGを既に見始めていたりして。

ではまたーノシ

ツインボーカルのエロゲソングにハズレなし説

One-Chance!最高じゃないっすか!>挨拶

ピュアガールって作品のOPなんですが、KOTOKOTさんと佐藤ひろ美さんという豪華歌姫二人が元気でキュートに歌い上げる名曲で、未だによく再生するエロゲソングの一つだったりします。
One-Chance!

ピュアガール オープニングムービー
べるんさんがエロ目的でなく純粋に萌えゲーとして間違えて購入されたというお話を聞いて改めてOPを見直してみたのですが、言われてみると抜きゲーだという先入観を排除すると確かにただの萌えゲーにも見えなくない!?
eroge-pc.hatenablog.jp
実際はえろえろ満載の抜きゲーなのでお話については"えっちでした"としかいえないのですが。それでも実妹のそらは不思議とどことなく他のフロントウィング作品の妹ヒロインっぽさがあってわぎゅー可愛いですし、なにより都の●●●●冷やし中華はもう一生忘れないんじゃないかと言うくらいインパクトがありましたねw
ともあれそんな可愛くもへんたいなヒロインとイチャイチャしたい方はぜひ。

それにしてもツインボーカルっていいですよねー。もうそれだけで無条件で「イイぞ」と言いたくなるというか。そう言えば祝福のカンパネラのOPだってずっと記憶に残ってるし、と戦姫絶唱シンフォギアも一話冒頭から逆光のフリューゲルでテンションあがったものだし。と色々と思い出しながら聞いていたんですが、どれも素晴らしい……!
あれ、いっそのことまとめて記事にしてみれば良くね?と言う事でレイシアらしくも無く思い立って即行動。今日はツインボーカルのエロゲソング名曲を思い出せる限り集めてみました。(曲を冠する作品に対する)一言感想もつけてみましたが、そっちはどうでもいいのでよろしければ名曲たちを是非とも聞いてみてくださいな。

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うーむ、 なにから話せばよいのやら

気がつけば一月放置>挨拶

実生活が込み合ってくると相変わらずこの体たらくなレイシアです。
まさかいないとは思いますが、もしも更新を楽しみにしてくださっている方がいらっしゃれば申し訳ない限り。。。

元来不器用な人間なのか、一つの事で頭がいっぱいになると他の事まで手が回らなくなってしまうのは相変わらずです。
例えばテスト期間とかでも私の場合アニメにエロゲ禁しつつ乗り越えたものですが、同期や後輩や教え子の多くはそんなストイックにせずとも普通に両立している事を聞いてしょんぼりしたり。
要するに切り替えが下手って事なんでしょうね。

それはともかく、長時間更新をさぼっただけあってネタには困りそうにありません。
再プレイしたSWAN SONGの話とか、2年越に攻略完了したWHITE ALBUM2の感想とか。
シンフォギアが面白すぎて一週間かからずに通して見終わってしまった事とか、タイトルで敬遠していた俺ガイルがめちゃくちゃ面白いじゃんと今更見始めたこととか。
アイギスのSレジェンドスタンプのレジェンド召喚チケットでイリスが被って白目剥いたこととか。WWRなるロボットスマホゲーが妙にツボった事とか。
またぼちぼちやって参ります。

ではまたーノシ

プラスティック・メモリーズ 視聴感想

ううっ、見終わってしまった>挨拶

プラメモは見始めたのは今年の初め頃だったのに、どうしてこれほど最後まで見るのに時間がかかったのか。その原因はOPテーマソング、ring of fortuneのせいでした。この歌、fullバージョンを聞いてみると、恐らくアイラとの別れのシーンであろう場面が歌われているのです。私はこれを聞いて怖くなった。見始めた時点から投げられていたボールの落下地点はおおよそ見当がついてしまう、だからこそ、そのボールを真正面から受け止めるだけの勇気が持てなかった。ようはヘタレ系主人公の如く、結論を先延ばしにして逃げてしまったのです!(我ながら情けない……)
なんとか恐怖にうちかって最後までウルウルしながらも見終わったので、感想の方をば!

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あらすじ

時は近未来。人々は現代とさほど変わらない生活を、ギフティアと言うアンドロイドが広く利用される社会の中で送っていた。
ギフティアは人間に外見、身体機能など極力人間を模して創られ、感情を持ち家族や仕事仲間など幅広い用途での関係が築くかれていた。
しかし、ギフティアの耐用年数は81,920時間。これをこれを超えると人格や記憶が損傷し、自信を制御できずに時にはパートナーを襲ってしまうこともある。
そういった寿命が近づいたギフティアの回収部門(ターミナルサービス)に配属された主人公、ツカサは物静かなギフティア、アイラと出会う。
二人はギフティアの回収の仕事を通して様々な人間とギフティアの関係性と出会い、その別れの瞬間に立ち会う事になる。
思い出を引き裂くように淡々と仕事をするのを由とせず、ギフティアとその契約者が最後の別れの瞬間を笑顔で迎えられるよう、時にはドジを踏みながらもひた向きに頑張り続けるアイラの姿にツカサは惹かれていく。しかしアイラ自身の寿命も残りわずかであり回収の時が近づいていたのだった……。

アイラは強く優しく、とても可愛らしい人なので

人間とギフティア、惹かれ合って共に歩みを進めていこうとする二人に立ちはだかるのは、寿命が全く異なる種族の違いと言う壁。だがしかし、アイラとツカサは同僚たちに暖かく見守られながら、互いに語りあい、いたわりあい、微笑みあい、ゆっくりゆっくり二人のペースで歩んでいく。約束された物語の終着点へとどこまでも穏やかに歩んでいこうとする、そんな儚くも幸せそうな二人の姿を見ているととても穏やかで優しい気持ちになりました。
終わりの時を迎えるに際してどのような自分でいられるのか、周囲はどのように接するべきなのか。そんな終活について思いをはせてしまう作品でした。

内心ではギフティアなんて泣かせることしか考えてなさそうなガバガバ設定を作るんだから、ラストシーンは絶対泣かせに来るんだろうな……まぁそういうのも嫌いじゃないけど心が痛むなぁとビクビクしていましたが、そんなことは一切ありませんでした。
最後の瞬間まで、涙でウルウルしながらも、ツカサと一緒にアイラを笑って送り出すことが出来たんじゃないか。そんな気がしました。

ある意味意外だったラスト

正直な所、もっと劇的で感動的なラストにすることは可能だったと思います。稼働時間が近づくにつれて記憶や人格が壊れていく、なんて設定を使えば今まで出来ていたことが段々出来ないようになっていき、ターミナルサービスの同僚、そして最後にはツカサの顔さえ忘れてしまう……なんて話にすればまさにお涙頂戴モノの王道のようなお話もできたはずです。ワンダラーの話なんかを見ていると構想段階ではもしかするとそういう考えもあったんじゃないかとすら思えてきますが、そうならなかったのは、アイラがツカサと一緒に辿ってきた回収の仕事と二人の時間があったからなのでしょうね。

プラメモはアイラのぽんこつっぷりを愛でる作品

ただ良くも悪くもあっさりとお話を追えてしまったため、SFとしても、ラブコメとしても、涙活としても色々な意味で中途半端な印象があるのも確か。
SF版おくりびととでもいうべきプラメモ。しかしこのお話の真の見所はターミナルサービスを通して出会う様々な別れそのものではなく、それを通して育まれるアイラとツカサの心の交流と、やがて訪れる別離への向き合い方にあると思います。先に挙げた不満以上に、アイラの可愛さが際立っていたのもそう思わせる要因の一つ。
てかアイラ可愛いすぎwww
無愛想なクール系ヒロインと見せかけておいて実はドジっ子だったというギャップに一話からいきなりやられてしまいました。
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ツンクールヒロインが徐々に心を開いていくって展開や銀髪ヒロインってのがストライクゾーンど真ん中だったりとかいう贔屓目な評価以上に、頑張り屋さんなのにぽんこつっぷりをいかんなく発揮してくれる所や、~~なので、という独特の口癖に都合が悪くなったり照れたりした時の「エラー、聞き取れませんでした」なんていう技とらしい誤魔化しにしても、作中の節々でみられるアイラの仕草や表情を毎回ニヤニヤしながら見ていました。
そう言えばOPムービーのラストシーンのアイラの表情は本編の気持ちが反映されているんですよね。これ、最初は気づかないで見逃してしまいそうでしたが、これも見ていて楽しいですし、こだわりどころとしても面白いチャレンジだと思いました。
ちなみに、9話の引いた顔つきが一番好きです(何
アイラ表情の変遷 三話
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七話
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九話
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"大切な人といつかまた巡り会えますように"

またね、アイラ。




おまけ
そういえば視聴し始めた頃、ギフティアと言う設定が作者にとって余りに都合の良い物である様にしか見えず、なんとも嫌な気分になったものです。だってこんなもの、都合よく別れを生み出すための演出装置に過ぎないではないか!ギフティアに感情だけでなく身体機能や人間とほとんど変わらない外見、さらには生理機能や生殖機能と言ったものを与えられるだけの技術力がありながら、どうしてこうも都合よく寿命だけは与えてやることが出来なかったのか、と。ヒロインに理不尽な苦難を与えるってシナリオ展開の仕方はあまり好きじゃないんですよね。
しかしシナリオ的にはさておき、技術的にはギフティアの創造主は敢えてこのような欠陥を残したのではないだろうか、と思うようになりました。
ギフティアが社会に広まればどのような事態が生じるのか。それはプラメモ本編でも描かれたように、恋人、パートナー、孫と言った必要にして理想の存在を簡単に手に入れる事が出来てしまう。そうなれば、結果として人間がギフティアに極度に依存しすぎる様になることなどお見通しだったのでしょう。ギフティアと人間はあくまで異なる存在なのだ。ギフティアが人間に置き換わる事があってはならないし、人間がギフティアに依存しすぎる事もまたあってはならない事なのだ。そんな創造主の苦悩が聞こえてきそうです。

プレイしたエロゲまとめ⑤ 2006年

それは舞い散る桜のように>挨拶
週末醍醐寺まで桜を見に行ったんですが、もうほとんど咲いてませんでした。がっくし……。。

オルタ、もしらば、こんにゃく、かにしの辺りは略称の馴染み易さもばっちりで、略称四天王の称号をやろう(謎
という不思議なテンションで、2006年エロゲまとめ、いってみよう。

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プレイしたエロゲまとめ④ 2005年

エイプリルフールネタ考えてたら4/2になってた>挨拶
いや、本当なんですって。帰ってきてから一時間くらいですけど、割と真面目に記事を考えていました。浮かんだ案としては
①ブログやめて引退します→ただでも更新頻度少ないから、ネトゲの引退詐欺みたいでかっこ悪い。
②プロのエロゲーマーになるべく仕事辞めます→現状あながち冗談にならないかも!?
③妹黒ソフト立ち上げて"おにいちゃん、実妹と義妹、どっちが好きなの!?"製作決定しました→画像も貼らずにスレ立てとな!

って感じで新年度早々グダってますが。それはともあれ二か月ぶりにプレイ済作品まとめの方を。

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Charlotte 視聴感想

面白かったじゃない>挨拶

評判なんてあてにならない!

相変わらず人と比べると二周も三周も周回遅れ気味でアニメを見ているんですが、そのおかげで(弊害ともいう)世間における作品のおおまかな評価というものが完走する前に聞こえてくることが多々あります。もちろん個人的にはネタバレには絶対に触れたくないのでなるべく避けているつもりではあるのですが、漏れ聞こえてきた範囲ではCharlotteに関してはあまりいい噂は耳にしませんでした。
そんな前評判のせいであまりハードルを上げ過ぎるような真似をせずに済んだおかげもあるのでしょうか。若干中休みはあったものの、最初から最後まで全編通して楽しめてしまいました。それはもう、六話が終わって七話冒頭で歩未の死を告げられた時なんて本当に絶叫してしまったくらいw
ともかく一話で物語の進行が尋常じゃない疾走感と情報量の多さをもっているのには驚かされました。当初は乙坂有宇が異能力を使ってカンニングやら意中のあの子と付き合うきっかけづくりに奔走する姿を見て、ゲスい主人公クンがどんな目に遭わされるのかと楽しみにしてました。がそれも最初の内だけであれよあれよとどんどんストーリーが進行していくのは見ていて引き込まれたものです。
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Charlotteのここがすき

ちなみに私の一番好きなシーンは、最終話で癒しの力を奪い去った後で鏡に映った自分の右目を見て、治癒の力を行使するかどうか悩むシーン。元はと言えば自分の私利私欲のために力を好き放題悪用していた有宇が、努力の末に神にも等しい力を自由に行使できる立場になれたにもかかわらず、"奈緒との約束を果たすという"たったそれだけの理由で克己するあの姿を見て『ああ、やっぱりこの作品の主軸は有宇クンの成長物語だったんだな』というのと同時に、『自身の存在証明できる場所が出来てよかったね』となにやらあたたかい気持ちで応援することが出来て、作品に深く接することが出来たように感じます。*1
あとは七話で荒れた有宇を見守り続け、知り合って間もないしそこまで世話を焼く義理もないのに、一線を踏み越えようとした"どうしても必要な場面"で颯爽と現れて手を差し伸べる彼女のかっこよさ、包容力は並大抵じゃなかったですね。天使ちゃんが天使なら奈緒ちゃんは女神ですよ!あんなん惚れてまうやろぉ!
ゲスい主人公クンから偉業を成し遂げられるまでに成長を遂げた有宇ですが、どれだけの困難にぶち当たっても彼が頑張り続けることが出来た理由と言うのは、きっと人類を救わなければならないと兄の様に使命感に目覚めたんじゃなく、ひとえに自分を絶望のドン底から救ってくれた奈緒ちゃんから託された願いごとだったからこそではないかなと思います。彼女の存在を忘れてしまっても、心のどこか深い部分で、ある種の本能的に自分を救い信じて待ち続けてくれている人が存在する事を認識し続けることが出来た。だからこそ成し遂げられたんじゃないのかなぁ、なんて。

他にも素晴らしき親友キャラ、高城も魅力のひとつ。なにせどんな陰鬱な雰囲気でも一瞬で吹き飛ばしてギャグへと変えてしまう高城さゆりんコンビの破壊力は大したものでした。最初はキレ者を思わせるようなビジュアルと登場の仕方から一転、ギャグ要員になったのは新鮮な驚きですw
暴力的だったり陰惨なシーン、さらには家族の不幸など重い話題が少なくないCharlotteを終始たのしく見れたのはは間違いなくこの魅力的なキャラクターたちのおかげでしょう。

どうしてCharlotteの評判は良くないのか

放送当時の評判とかも見てきたんですが、人に拠っては不満点が明確に表れてしまう作品だったようですね。丁度自分もフォロワーさんから"主人公が右目直してループしない部分とか不満だったかも"的なリプを頂いて、実を言うと私が作中で感動した場面の一つが其処だったのですが、なるほどそういう受け取り方もあるんだなと思いました。
では何故Charlotteがこれほどまでに評価と感じ方が分かれてしまっているのか。それはひとえに物語の焦点がぼやけてしまっていた事に起因するのではないかと思います。
Charlotteの物語を一言で表して(もしくはジャンル分けして)欲しいと言われた時、皆さんはどう答えるでしょうか。異能力モノかタイムリープモノか、はたまた群像劇か兄妹愛か。
どれもこれも、その一つのテーマを作品の核に据えて物語が一つ作れてしまう程使い出のある内容ですが、シナリオ上どうしても外せないファクターだったと言うよりはむしろ、純粋にだーまえが好きな(書きたかった)要素で、それを詰め込んでいった結果出来上がったのがCharlotteだった、みたいな印象を覚えました。"◯◯っぽいという褒め方"の是非がだいぶ前に話題になりましたが、それに当てはめるとすると、Charlotteは『ギアスっぽい主人公がリトバスっぽい人たちに絆されてシュタゲみたいにループしてまどマギみたいに神となる』作品だと言えちゃう、みたいな。
つまり、キャッチーな物語的要素を詰め込みすぎてしまったため、それぞれの要素を物語の核に据えて最大限発揮し尽した作品群と比べてしまい、見劣りしてしまうのではないでしょうか。しかも主に後半に集中してしまっているせいで、終盤に急転直下しまくる忙しなさがまるで悪い意味でエロゲ的で、余計につめこみへの不満が引き立っている構成だったような気がします。*2

もう一つは、いつものだーまえ作品の様に全力で泣かせてやろう!!というような物語展開では無かった為(わざとそうした節が見受けられますが)、彼の過去作品の様に心を鷲掴みにされてガクガク揺さぶられるような衝撃を感じ辛かったので、そういう場面を期待していたのであれば肩透かしを食らった感じになるのかなぁ、なんて思ったり。

Charlotteのここがきらい

他にも細かい不満点はいくつかあって、一つは隼翼の頑張りがダイジェスト過ぎて重みが薄れてしまっている感じがしました。どう考えてもお涙頂戴とばかりにいくらでも膨らます事が出来た内容のはずなんですが、それをしなかったのはきっと尺の都合と、あとは主人公は隼翼ではなく、あくまで有宇であると言う事を鑑みての事かなと。

二つ目は、古木の裏切りについて。彼は私の中では名前も覚えていないくらいの印象の薄さだったのですが、そんな彼の裏切りによって有宇や隼翼の日常は崩壊していきます。次々と仲間が傷つき、酷い目に遭わされるのを見て苛立つばかりでした。「こんなどうでもいい奴の為に、どうして!」と。
とはいえ不満の対象は、裏切ったのが許せねぇ!という短絡的なものではありません。なにしろ組織に大きな犠牲が出たきっかけは古木ではあるものの、その直接の原因は裏切り者の家族を救うため相手の要求に素直に従った隼翼の決断にあります。
いくらタイムリープの存在を相手に知られているとはいえ、自分や兄妹のために世界を変えると息巻いてタイムリープを繰り返し、時には驚異となる相手の組織襲撃したり、自身は計画が上手くいかないと分かった途端に幾多の世界線で放りだしたりと、目的の為なら手段を選ばない隼翼にしては甘すぎる対応だったように思います。
正直な話冷たいようですが、私にとっては古木の家族がどうなってしまおうと「興味ない」訳で、どうして見捨てる選択をしてくれなかったのか。
この不満を解消しようとすると、まず浮かぶのは"裏切り者の役目をよりディティールの濃いキャラにする”という方法。
熊耳さんの受難シーンを見ていて、『この為に序盤から濡れ男として出ていたのかよ……チクショウ!!』とだーまえに賛辞と恨み言をまとめて贈りたくなりました。"誘拐拷問されて果ては仲間を護るために自らは命を落としてしまうキャラをこっそり序盤から登場させておく"というセンスのある配役を見せつける一方で、どうして古木のようなどうでもいいキャラを助けなければならなくしてしまったのか。つまり脅される役目がポッと出のモブキャラの運転手Aではなく、熊耳とまでは行かないまでも例えば前泊のような組織の重鎮だったほうが相手の強迫に従わざるを得ない重みと言うか、説得感が出るわけです。
ほかにも、古木との馴れ初めや彼が組織に貢献した内容などを描くことで、彼に同情できる余地を掘り下げて隼翼が古木を見捨てる決断ができなかった理由を補強する方法もアリじゃないでしょうか。もしくは、ここにきてなんだかんだ言って未だ年若い隼翼の青さが出てしまったとか、自分の全てと言っても過言ではないタイムリープ能力を由宇に渡したことで定年後のおじいさんの様に府抜けてしまったとかいう考えも浮かびますが、いずれにせよこのあたりの説明不足のせいでどうも納得し切れずにモヤモヤしながら悲劇を眺める事しかできなかったのでもどかしかったですね。

あとは奈緒についてはもう少し内面に踏み込んでほしかったなぁ、と思ったり。なんせメインヒロインなのに蹴ってるシーンとか蹴られてるシーンばかり思い出しちゃいますからね!ひくなぁっ!!??
でも冗談ともかく、タイムリープ後の由宇を疑うことなく一発で受け止めてしまう彼女の包容力と強さの根源とかを見てみたかった気がします。

ぶれいぶりー・ゆー!

OP曲である"Bravely You"、初めて聞いたときは『なんだか不安になる旋律だなぁ……my soul your beatsより微妙…?』と思っていましたが、何度も聞いて行くうちにかなりお気に入りとなりました。音質的にはそれほどですが。
本編視聴後にbravely youを聞き返すと、そこには有宇の壮大で無謀な挑戦に挑むさまが描かれていたのだとわかり、いやむしろ良いか悪いかは別として、bravely youと灼け落ちない翼という詩の為だけに捧げられたアニメだったような気さえしてますます気に入ってしまいました。
ところで、割と最近気付いたのですが。"Bravely You"……このYouって有宇と掛けてるんじゃないかと感じました。
つまり……"Bravely You"、"ブレイブリーユー"、"がんばれ!有宇"……この曲はその名の通り主人公への応援歌だったんだよ!!AA略
てな感じでOPが本編と言うのはあながち間違いじゃないのかもしれません!?本来アニメOPと言うのはアニメ本編の従属物のはずですから、それらが独立して相互作用を与えあう関係っていうのはなんだか面白いですね!

神にも等しい役を成し遂げた彼らにせめて最後は、幸せな人生を。

最後になりましたが、べるんさんのCharlotteのレビューは深いところまで考えてらっしゃていて大変面白いので、どちらも是非読んでみるとより深くCharlotteを味わうことが出来ること請け合いです!
eroge-pc.hatenablog.jp
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また、実を言うとこの記事はべるんさんに愚痴を聞いてもらってと感想をお話しているうちに叩き台が出来てしまいました。
この場をお借りして感謝致します。いつもありがとうございますー!!

ではまたーノシ

*1:ちなみにこれをべるんさんは”奇跡の否定”と訳されていて、本当にその通りだなぁと納得すると同時にかっちりハマりました。超能力やらタイムリープやら派手な看板に彩られていたものの、きっと一番描きたかったのはこれだろうと。

*2:この事をべるんさんとお話しているととても分かり易くまとめてくださいました。以下twitterより引用させて貰いました。なるほどわかりやすい。 『つまり「視聴者が見てきた物語のある『型』の期待値がまずあって、でもCharlotteはそれに応えてくれなかったから不満になっている」という感じですよね。 いわば、自身の物語経験に引っ張られてしまうと、Charlotteに不満を覚えてしまう事があるのかも』